会いたくて
合同小説
この話は、浅木灯、海王星美玲、樫丘深青、真城成斗(名簿順)の手によって生み出されたカオスなストーリー第2弾です。
どれほどカオスか?そんなもの読んでみればわかります。
真城→樫丘→浅木→美玲→真城…のようにちょっとずつ書いていったやつっす。
1枚の紙と1つのペンとその時のテンションで生み出されたお話しをどうぞ…
徒然なるままに日暮らし、硯に向かいてカップ麺をすする俺。
…彼女ほしーなぁ…。とりあえずニコ動にログインする俺。
まず開くは昨夜あの娘が何をしていたか。キーボードをたたくとすぐにヒット。今夜もあの娘に会える。
母「カン太ぁー!!またさつきちゃんに迷惑かけて!!!」
またババアの雷が落ちてきた。
でもさつきちゃんじゃなくてなつきちゃんだ。夏に生まれたからなつきちゃんだ。
決して五月の新緑に囲まれて生まれてきたわけではない。
六月のあの梅雨の時期に無理矢理傘を押しつけて以来、彼女は俺のネット上のアイドルとなった。
ところで、ネットっていうのは網のネットのことじゃないんだぜ。
彼女の事は俺が一番良く知っている。たとえば彼女が最もよく現れる場所は
スーパーの見切り品コーナーである。
更に、使うレジは必ず上手(※1)から3番目。何かジンクスでもあるのだろうか…。
それにしても、未だに彼女に関してネットを使わないと何もできない自分に腹が立つ。
俺も男としてここはバシッと行動すべきだ。決行は明日。
まずは、カメラを用意しなければならない。それからホッカイロ。冬場の尾行には必須だ。
それからゴーグルとマスクと…いけない、これでは花粉症患者だ。あとはそうだな…仕上げとしては
ハムスターの頬袋並みの容量のリュックサック。これがないと夜も眠れん。
言っておくがひまわりの種なんて入ってないんだぜ!?
ここに入ってるのは、並々ならぬ彼女への愛だ。とりあえずこれで準備は整った。
玄関のドアを開けるとそこには一羽の伝書バトが。
彼にくくりつけられた手紙にはこう書いてあった―――。
「夜9時、いつもの場所で(ハート)」
現在時刻は8時15分。手紙の指定の時間まで時間がある。
おれはゴーグルとマスクを着用し、伝書バトのかたわらを飛んだ。
さすがに高度1万フィートは冷えたが無事に成田に舞い降りることができた。
人、人、人。人ゴミの中、俺は彼女だけを探す。
嗚呼…早く会いたい。俺は必殺技を使った。
「いざんばとーに・いざんばーかーとす!(※2) 俺の体よ、プリンになれ!!」
プリンになった俺を見つけた彼女はうれしそうな顔をして俺の元へかけてきた。
「やっと会えた…」
彼女の瞳には涙がいっぱいたまっている。
ネット上でしか関わることのなかった俺達は今、対面した。
しかし、俺はプリンのままだ。
人とプリン…とろけるような甘味を伴い、口膣内から体内へと滑り込むことしかできない存在に、
果たして愛は成立するのだろうか。
同種として交わることのできない俺達の下へ、再び、伝書バトが舞いおりた。
「YOU、喰われちゃいなYO☆」
―――俺は彼女と一つになった。もう俺たちを阻むものは何一つなく、
彼女の身体は、温かかった。
そんな妄想をひととおり終え、俺はニコ動をログアウトした。
完。
※1、「上手」。かみてと読む。舞台用語。客席からみた舞台の右側を指す。
※2、「いざんばとーに・いざんばーかーとす」。真城作。さぁ!反対から読んでみればいいわ!
あとがき。
どうも、美玲です。
いかがでしたでしょうか?『会いたくて』
何故彼はプリンになる必殺技なんか使ったんでしょうね。
明らかに呪文の選択ミスですよね!!!
はい、疲れました!
何ってこれを打ちなおしたのが疲れました!
でも打っててまたこれを書いたときを思い出し、一人で笑ってました。
お疲れ様でした!